9月例会報告
日時 2024年9月8日 (日)
場所 サンプラザ市原
出席人数 8名
8月は夏休みということで、例会もおやすみだったので、二ヵ月ぶりの例会となりました。駆け足でなんと!五作品の合評を行いました!
「へび少女」鷺町一平
興行にきた見世物小屋の少女と優等生で旅館の娘の一週間の交流を描いた物語。時代設定は1971年の初夏だが、前面には出さず読みすすめるうちに会話の中でなんとなく、わかるようになっている。この手法が新鮮だという意見があった。タイトルで楳図かずおを連想してしまってホラーじゃないのでがっかりしたという意見もあった。その他概ね好評であった。
「魔物が潜む場所」萩原紫香
現実と非現実の境界を描くことに長けている作者。今回もその路線で、主人公の美和は久しぶりに集った実家で子供の頃にみて封印していた父の不貞の真実(?)をお手伝いである晴子から知らされる。タイトルの意は“人の心の中”だということで評価する声があった一方、登場人物すべてが不倫に関わっている、読んでいてやりきれなさを感じる等、厳しい意見も多かった。「美和の一人称だが晴子の告白がメイン。真実か妄想かわからない…それをうまく伝えられなかった」とは作者の弁。実に難しい構成に挑戦したなぁという印象を持った。
「風の濁流」勅使川原正子
なんと!百枚にも及ぶ時代劇。作者は毎月新作を量産している猛者。それだけで頭が下がる。この情熱が報われる日が来ることを願ってやまない。今までで最高の出来ばえという声があった一方、登場人物が多すぎて頭に入っていかない、混乱しちゃうので整理すべきという声も。作者曰く「時代劇が好き。登場人物は75人。資料ファイルが多い。続編がある」とのことなので期待したい。
「水仙」麻生悠子
高二のミッションスクールに通う久美の視点で、カトリック教会の神父に憧れて行事に参加したり、ペンフレンドに会ったりと作者自身の青春時代の思い出を広島弁を駆使して書き綴った作品。水仙の香り漂う佳作という意見や、広島弁が効いているという意見があった。個人的には石坂洋二郎の小説のよう、という意見とこの作品には色と音を感じるという意見になるほどなぁと思った。
「深大寺人形恋話」守宮槐
深大寺の参道にあるビスクドール専門店で等身大ビスクドールに魅入られた男の話。ロゼリアと名付け愛を捧げる修一の姿は、第三者から見れば異常かもしれないが、好きな趣味にとことんのめり込んで、いくらでもお金を注ぎ込むことと何が違うのか。本人が幸せならばいいじゃないかと思わせてくれる。作者のビスクドールに対する知識や専門性を堪能した。人形の実在感がないという意見や修一の中でリビドーがどう昇華されているのか気になるという意見もあった。
次回の例会ではいよいよ同人の作品が出そろい、11月の槇47号発行に向けての準備が整います。またのご報告をお楽しみに!
0コメント